題名 御ぞんじ 山くじら かばやき
年代 天保二年(1831)
絵師 一勇斎 国芳 (歌川国芳)1797~1861
版元 和泉屋市兵衛
この絵は、三枚組みの左の絵で露店の鰻屋の様子が画かれています
鰻屋はウナギを川魚問屋からも買いますし、質の良いウナギを捕る漁師さんとも契約しています
もちろん当時は養殖ウナギなど存在しませんので扱うウナギはすべて天然ウナギです
天然うなぎは冬季になると漁獲が激減して捕れなくなります
【農閑期にため池などの管理で行う「池干」の時に行う漁や、竹筒を沈ませ越冬の準備に入る
ウナギの習性を利用し冬季に動かなくなったウナギをとる漁、または秋口にとれた
大きなウナギを田んぼなどに水をはり畜養させ土の中から冬眠中のウナギを捕る一部の
特殊漁法ですが寒の時期に捕れる大きなウナギは「寒の鰻」と呼ばれ極上品です】
ウナギが捕れない冬季は、平野部の漁師さんは鴨などの鳥猟を、
山間部の漁師さんは猪や鹿などを捕って鰻屋に売っていました
もちろん鰻以外は扱わない高級店も江戸時代からありますが、
現在もその名残で焼き鳥などを扱う鰻屋も多く残っています
材料は違いますが、ウナギの替わりに肉をウナギ串に刺して
同じようなタレを使い同じ火鉢で焼くので新しい設備もいらず容易なことです
この浮世絵は歌舞伎の顔見せの浮世絵で11月に刷られていますので
ちょうど漁師さんの鰻漁が終わり、他の獲物を捕り始める時期です
鰻屋のウナギとももんじ屋の山くじら(イノシシ)が同時に販売しているという
短い期間の様子がうかがえる資料でもあります
おわり
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